京都の桜

「奈良・二月堂のお水取りがすまんことには、きぶんもほぐれない」(冬の台所)と大村さんは書いています。お水取りも済んだので、早めに京都の桜のご紹介を。
昔気質の京都の人は、お水取りが済むことで暖かい春が訪れると考えているのです。
先日、帰省した時に、いつから暖かくなるかと父に問うたところ同じことを言っていました。

大村さんが穴場として何度も書き残したのは、将軍塚です。


彼女が子どものころ、知恩院さんの裏手から将軍塚に登って遊んでいたことが記されています。
また、大人になってからは行きだけクルマを使い、帰りは山道を歩いて降りたとも。

大村さんは、自分が死んだらここから散骨してほしいと書かれていますが、
関係者によれば、「そんなことできません。そういうことを書いてもらったら困る」と京都市から文句を言われたなんて笑い話もあったとか。

 

平成26年に将軍塚には青龍殿が建立されたほか、大きな能舞台、舞台上にガラスの茶室が作られています。

つまり、大村さんの時代とは様子が異なっているわけです。
青龍殿は入場料500円(大人)。キレイに整備されていて500円の価値はあると思う。
写真は私が去年の春訪れたときのもの。
いまも穴場なので、人が少ないのと、宴会などはできないので静かでお品がよろし。

私はもうひとつのルート、長楽寺の山門脇の登り口から将軍塚まで上がったことがあります。
これが、本当にハイキングレベルの山道でした。
20分ほどで到着するも、へとへとです。
帰りは途中で間違って、東山ハイキングコースに入ってしまい、粟田山荘のほうまで流されてしまって、もう大変。
すれ違う人は、みな本気のトレイルランニングの装いです。
私のようにコートにチノパンなんて街着の人は誰もいませんでした(笑)。

また、仁和寺は花守がいて銘木が多いこと、常照皇寺の九重桜などについても、大村さんは書き記しています。
そのほかは有名どころで嵐山、哲学の道、平野神社、丸山公園の枝垂れ桜なども記述。

桜ひとつでも、こうしてスラスラと思いつく人ですから、当時多くのメディアが彼女に京都の案内役として仕事を依頼したのは当然だったと思います。
いまのようにインターネットで安易に物が調べられない時代です。普段から習慣として身についているもののほか、
実際に方々に足を運んで知識を蓄えた大村さんの熱意にはただただ感服するほかありません。

最後は私個人が慣れ親しんだ桜。北山橋から北大路橋の間(東側)の半木の道。半木と書いて、なからぎと読みます。

 

こちらは北山橋より北方向。