これがほんとの焼き豆腐です

家庭画報.comの連載が更新されました。
本日公開の記事では入山豆腐店さんをご紹介しています。

https://www.kateigaho.com/food/rensai/37499/

大村さんの著述をたどりますと、入山さんの紹介では必ずお焼き(焼き豆腐)について記述がなされていました。お焼きは今も健在で、当時と同じく炭火焼きです。

実際に豆腐を焼く様子。先代と同じく、ご主人が渋うちわであおいでいらっしゃいました。

昭和49年発行の大村さんの著書「京の手づくり」に興味深い記述があります。

この本では、薪をくべて豆腐を炊くお店として、入山さん、辻さん、丹七さんを紹介。このうち丹七さんは本が書かれた4、5年前に廃業されたと書かれていました。また、調べたところ、辻さんも、すでに営業をされていないご様子です。

こちらは夏だけの絹ごし豆腐。持ち帰って冷奴にしたものです。

のちに中央公論社から発行された「京の食べもの歳時記」では、鞍馬の山本さんが薪で炊くお店として登場しています。しかし、2年ほど前に鞍馬で調査したところ、「もうずっと前に閉められましたよ。20年くらいにはなるかなあと」と地元の方から聞きました。

私の知る限り、大村さんは、上記の4軒の(薪で炊く)豆腐店を紹介されています。そして、そのうち3軒はもうないということになります。悲しい限りです。

さらに、豆知識をひとつ。

かつては入山さんの周辺を、上ノ店(たな)と言って、六条ノ店と錦の3つの魚市を、三店魚問屋と称しました。このことを大村さんが「京の食べも同じ魚市の一つであったことをの歳時記」で紹介しています。

いまは住宅街となった椹木町通の町名に魚市の名残がみられます。入山さんのご町内は上京区東魚屋町。錦市場には同じく東魚屋町(こちらは中京区)があるのです。
入山さんや、錦のお店の取材内容の確認段階で、住所を見ていて気づきました。