岩屋山志明院へ

先日、仕事を兼ねて10日間ほど京都に帰省していました。
その合間にも大村さんの足跡を辿り、あちこちへ。

今回、訪問した中で一番特別な場所が、岩屋山志明院(しみょういん)です。

雲ケ畑の奥の奥にあるお寺で、大村さんは『京都 火と水と』(冬樹社)で、こちらを紹介しています。
歌舞伎の「鳴神 北山岩屋の場」の舞台で、あらすじや飛竜の滝などについて書かれています。

雲ケ畑は鴨川の水源地。北区で育った私は、小学校の頃、町内の人たちや子供たちと一緒に、夏に川遊びをしに来たことを覚えています。
しかし、志明院があるのは、まだそれよりも奥。
大村さんは「町なかからクルマでおよそ一時間。たったの一時間で、こんな別天地があるやなんて」と記述しました。

道程で、昨年の台風で山杉がなぎ倒されままになっていて驚きました。

志明院は650年に役の行者が草創。その後、829年に空海によって再興されました。

到着すると、寺務所の犬がワンワン。お寺の女性(僧侶ではない)が出てこられて、山門から先は撮影ができないこと、荷物は置いていくことと説明がありました。
そのあと、地図を見ながら山門内の簡単な説明を受けてから、山門をくぐります。

山門をくぐると、見上げるような石段。その途中にお堂や滝があり、この時点から特別な空間に踏み入れたと感じさせられます。
本堂からさらに先に進むと不動明王を祀った岩屋(洞窟)があります。
洞窟は山のような巨大な岩の一部が窪んだ状態のように見えました。
説明されたとおり、岩屋の中で耳を澄ますと水の滴り落ちる音が聞こえてきます。

岩屋はおどろくほどに原始的な宗教施設で、そちらに至るまでのルートも含め、『まんが日本昔ばなし』の世界のようです。

4月には天然記念物のシャクナゲが咲き、その様子は志明院のTwitterで拝見できます。

司馬遼太郎が『街道を行く』のなかで、こちらを訪れた時の様子を書いているとのこと。こちらも読んでみたいと思います。

スピリチュアル、霊感の類に興味のない私も、かなり緊張感を感じたお寺でした。

帰り道に、大村さんが『美味しいもんばなし』(鎌倉書房)で紹介した畑嘉さんに立ち寄りました。


大村さんはこちらの川魚料理について書いています。

志明院は一般的な京都観光だと、まず訪れることのない場所でしょう。
もし、ご興味があれば、ぜひお詣りしてみてください。