「はんぺいとおねぎ」の動画を公開しました。

YouTubeにて新しい動画を公開しました。

今回は、大村しげさんが『京のおばんざい』(中公文庫ビジュアル版)にて紹介した「えべっさんの日のはんぺいとおねぎ」の調理動画です。

動画はこちら →  https://youtu.be/g5AohQgQx1w

動画で紹介しきれなかった部分を、こちらに書いておきます。

今回の料理は、京都ゑびす神社の「二十日ゑびす大祭」(ゑびす講)とかかわりのあるものです。詳細は神社のHPをご覧ください。http://www.kyoto-ebisu.jp/

動画で説明したとおり、はんぺいを小判、斜めに細く切ったねぎを笹に見立てた料理です。えびすさまの持ち物を料理にすることで、商売繁盛への思いを込めていたわけです。

「はんぺい」は「はんぺん」のこと。本に掲載されている写真でも、はんぺいは小さく丸いものを使用しているように見えます。

記述では、以前のはんぺいは小判型をしていたと書かれています。おそらく、出版当時、すでに小判型のはんぺいは姿を消していたものと推測します。

そして、はんぺいは「丸いまま一人に一つ」と書いてあります。

 

今回、うまい具合に、一口サイズの丸いはんぺんを見つけたので、それを使用しました。また、今回のねぎは九条ねぎです。九条ねぎは青い部分が非常に長い。写真では青々としたねぎが、お椀にたくさん入っていたので、きっと九条ねぎを使っていたに違いありません。

 

つぎに、だしについてです。

本には「かつおぶし」「またはだしじゃこ」を使うと書いてあり、昆布については触れられていません。昆布を足したほうが、より美味しいように思えますが、動画は検証の意味もあるので、出典に従い、かつおだけで、だしをとりました。結果としては、十分美味しいものになりましたのでご安心ください。

ご参考までに。かつおぶしのパッケージには、「水650mLを沸かし、沸いたら火を止めて、かつおぶし20gを入れる。1-2分置いて、濾す」と手順が説明されていました。

毎度ながら、今回も料理のルーツや意味、暮らしとの関わりが、短い文章のなかに上手に織り込まれています。当時の人々と同じ気持ちにはなれないし、同じ習慣をそのまま引き継げないにしても、忘れ去られていく、暮らしのあれこれを、私たちが関心を持つことが大切だと感じます。