おこんにゃ

YouTubeに新しい動画をアップしました。

今回は、『大村しげの京のおばんざい』(中央公論社)、『冬の台所』(冬樹社)『京 暮らしの彩り』(佼成出版社)などで、大村しげさんが、たびたび紹介していた「針供養のおこんにゃ」の調理動画です。

URLはこちら https://youtu.be/iOn0U5YquiY

「おこんにゃ」とは、こんにゃくのことです。

京都では、だいこんを「だいこ」、かぼちゃを「おかぼ」というように、独特の言い方をします。「おこんにゃ」も、そうした口語の一つです。いまだに、京都でこの言葉を使う人は、ごく一部の方だけではないでしょうか。

12月8日は、針供養の日です。この日、折れた針を、こんにゃくにさして、針をねぎらう習慣です。針をさしたこんにゃくは川に流されます。

そして、その日にはこんにゃくを食べるのも、また習慣でした。

大村さんは女衆さん(おなごしさん、おなごっさん/お手伝いさん)についていき、こんにゃくを川へ流す様子を見ていたことを記述しています。その理由について「清浄なものは、なんでも川へ流すことになっていたから」(『大村しげの京のおばんざい』)とあり、昔の人の信心深さを感じます。

一方で、当時は裁縫が女性の重要な仕事であったため、針仕事ができないと嫁にいけないといわれた、当時の事情も書かれていました。

さて、今回の調理について、動画では伝えきれなかった点を補足いたします。

まず、こんにゃくですが、大村さんは、白いこんにゃくよりも黒いこんにゃくのほうが食感が好きであったそうです。

つぎにタカノツメについて。本には二つ、三つ使うと書かれています。今回、二つにして、記述通り、種を抜いて輪切りにして使いました。難しいのは味見です。だしを味見すると、ピリピリと非常に辛い。ですが、だしから引き上げて盛りつけると、こんにゃくそのものの辛さは適切か、少し弱いくらいに感じます。ただし、輪切りのタカノツメが口に入ると、非常に辛いので要注意です。

辛いのが苦手な方は、タカノツメを少しずつ入れながら、味見をしたほうが安心です。

味付けは動画で映している調味料の分量だと、物足りなくて、最終的に、私はそれぞれ追加して、調味料の総量は2倍程度になったと思います。これはお好みで、調節してください。

そのほかのレシピとして『冬の台所』には次のように書かれています。

こんにゃくをこまこうちぎって、からからとから煎りをし、水気をすっくりとってから、おしたじ(※)だけをさして、煎り上げると、これは上戸によろこばれる。黒い田舎こんにゃくがよろし。たまりで煎ると甘口に、淡口では辛口の方に向いていて、これには七味をちょっとふる。

※醤油のこと

針供養の日でなくとも、試してみたくなる料理です。