以前から、大村しげさんがNHKの長寿番組『きょうの料理』に出演なさっていたお話は、当時周囲にいらした方々にお聞きしていました。
今回、『NHK きょうの料理 昭和63年4月号』(日本放送出版協会)が手に入り、当時の様子が一部わかりました。
大村さんは、昭和63年(1988年)4月4日から7日の4日間出演し、特集「伝えたい味”京のおばんざい”」で以下を調理しています。
・あなごどんぶりとじゃがいものおひたし
・こんにゃくの田楽
・たけのこの精進だき
・小鯛の笹漬けのしゃぶしゃぶ。
テキストでは、4日間分、それぞれの料理について随筆を寄稿しているほか、上記以外のレシピもたくさん紹介されています。
そのほかに紹介された料理
から汁(おから入りの汁もの)、鯛まむし、じゃがいもだんご、ちぎりこんにゃく、しじみご飯、身しじみの煮物、油揚げとわけぎのてっぽうあえ、たけのこのみそだき、ひめ皮の梅肉あえ、たけのこご飯、わかたけの吸いもの、切りご飯、ふきと鯛の子のたき合わせ
このテキストでは、通常であれば、文体が新聞調で書かれるところが、「です,ます」調で書かれています。
「京都では、なにの日になにをいただくというきまりが、ぎょうさんあります」「それを買うて、つけ焼きにしたあなごで」
など、一部にいつもの方言を用いた文章も見受けられるものの、大半は「です、ます」調の影響か、標準語と変わりない文体になっている印象です。これはNHK側の標準表記の要望に沿った大村さんの対応なのか、編集者の判断により、編集部が修正したものか、いまとなっては詳細は分かりません。
1988年4月以外にも、大村さんは『きょうの料理』に出演されているので、そのほかの手掛かりが見つかれば、またご紹介します。