おこぶずし

YouTubeに、新しい動画を追加しました。

今回は、大村しげさんが『京 台所の詩』(淡交社)で紹介した、おこぶずしを調理しています。

動画はこちら → https://youtu.be/dsV2LGZTj3g

著書には、宝鏡寺さんで、おこぶずしを教わったことが書かれています。

さばずしの時期に、肉食の許されない尼僧たちが、その代わりに召しあがったのであろうと彼女は述べています。

おこぶずしは、本来はさばを、煮いた昆布に置き換えて、さばずしと同じ要領で作るものです。当初は同じようにして、人にもふるまっていた様子が記述にあります。

『京 台所の詩』にはすし飯の酢の配合は書かれていません。『京暮し』(暮しの手帖社)に「お米一升に酢一合、お砂糖二十匁、塩一つまみ」と書いてあります。お米一升=約1.8L、酢1合=約180mL、お砂糖二十匁(もんめ)=70g(3.75g×20)です。

さらに大村さんは「応用を思いついた」(『京 台所の詩』より)として、磯巻きの型を使って押し寿司にしています。

 

型は、切れ目の入ったものだと、きれいに切れるので便利です。海苔を巻いた後、切りにくい場合は、おすしを型に戻してカットしてください。。

 

今回作ったのは、この磯巻き風のもの。磯巻きとは、さばのそぎ身をはさんで海苔巻きにしたものです。祇園の重兵衛さん(※)のものが有名で、大村さんは『だれも書かなかった京都』(1973年)、『とっておきの京都』(1977年)で紹介していました。

※現在の場所は、錦小路通室町東入ルです。

 

また、応用の過程で、次のようなアレンジも加えています。

いちいち長いおこぶをたくのは面倒やから、塩こぶを利用するのである。

『京 台所の詩』より

こんぶをきれいに真ん中にサンドイッチするのが難しい。昆布が波打ったり、上下どちらかに偏ったりします。最初に下層のご飯を詰める際、きれいに均等になるよう注意してください。

 

こちらも撮影前に試作したところ、注意が必要とわかりました。大村さんは、自家製の塩こぶを使用しており、記述によると、もともとあまり塩辛い味付けにしていないとのこと。

私は深く考えずに、塩をまぶした市販のものを使ってみたら、硬くて切りにくいし、食べにくい。おまけに塩辛く、大失敗です。

もし市販のものを使うなら、出汁で軽く炊き、塩を抜いてふやかしたほうが、ずっとおいしく食べられると思います。

 

ぜひお試しください。