追い出しあらめ

本日、YouTubeに新しい動画を公開しました。

今回は、『京 暮らしの彩り』(佼成出版社)に、大村しげさんが書き残した「追い出しあらめ」を調理しました。

動画はこちら https://youtu.be/Ih_8SzpgYEU

あらめは海藻の一種です。あらめについては、過去に紹介していますので、以下の関連記事もご覧ください。関連記事

あらめは錦(市場)の島本さんで購入したものです。1年くらい日持ちするようです。

 

普段、八の付く日(8日、18日、28日)に調理するあらめと違い、八月十六日の「追い出しあらめ」は、先祖にお供えするお盆の精進料理です。いつもは、かつおやだしじゃこを使うところを、お供えする分だけは、こぶ出汁でたきます。

 

調理の下準備が終わった段階。水で戻し、洗ったあらめと、油抜きをしたお揚げです

 

 

できあがった追い出しあらめ。左はかつおぶしの入ったもの。右はお供え用に、お精進で作ったものです。

また、普段は、ゆで汁を土間になっていた台所の流しの下に流す習慣がありましたが、追い出しあらめの場合は、玄関口にまきます。

それによって、ご先祖様が、お帰りになるのです。「追い出しあらめ」と呼ばれる由来は、そこにあります。

あらめのゆで汁。紅茶のような色をしています。水でもどしている段階から、しっかり色が出ます。

八月十六日の夜には、通称「大文字」こと、送り火が行われます。

送り火は、先祖の霊を送るためのもので、これについての大村さんの随筆には胸を打たれます。

 

あの火はなにを、いったいどこを照らしているのんやろう。

(中略)

清浄な火は心のよりどころやったんやろうか。わたしもまた、父を送り、母を送った年には、この送り火に祈りをこめた。魂は永遠に生き続けているというのが、わたしの信条やから、また来年までごきげんようしてとくれやす、と私は祈った。

『京 暮らしの彩り』より

 

今年の送り火をご覧になる方は、ぜひご先祖さんが、無事に十万億土の彼方へお帰りになるのを見届けてください。

TV中継もあるとのことで、ご興味のある方は京都市の公式観光ナビをチェックしてください。