お彼岸の調理動画を公開しました。

お彼岸に合わせた動画を2本、YouTubeにて公開しました。

今回は、精進だき、茶めしの調理動画。ともに、大村しげさんの書き残した、料理を実際に作って検証したものです。

精進だき(『大村しげの京のおばんざい』中央公論社より)は、以前に調理してこのホームページで紹介したことがあります。今年から動画をはじめたので、改めての紹介です。

精進だき。

精進だきの動画>>https://youtu.be/N842hCxzGQg

精進だきの一節には、大村さんの祖母が信心深いかたで、折に触れ、精進料理を食べていたことが書かれています。そして、大村さんは「きょうは、お中日」と、お彼岸にあわせて、この料理を紹介しています。

動画中で説明しているように、しいたけの調理法については、はっきりしない点があります。その点以外は、スムーズにできました。

生ゆばは、京都から通販せずとも、日本橋高島屋(味百選コーナー)で、千丸屋さんのものが手に入りました。

生麩はあいにく京都のものを置いていなかったので、ゆばの隣に並んでいた金沢のものを使用しています。

調理では、生麩と生ゆばをたく際、淡口しょう油と塩を入れています。これについて、「淡泊なところへ味を持っていくのやから、上等のおこぶでおいしいだしをとる」「うす味をつけてさらっと」(※)とあります。そのため、なるべく薄味を意識しました。お塩だけの味付けでもよかったかもしれません。

※ともに『大村しげの京のおばんざい』より

 

続いて茶めし(『美味しいもんばなし』鎌倉書房より)についてです。

茶めしは、しろまめを使い、番茶でたく豆ごはんです。

「祖母も母も好物」と『美味しいもんばなし』にあり、大村家ではお彼岸の入りか中日に食べられていたことや、仏事のものらしいとの私見が書かれています。

茶めしの動画>>https://youtu.be/ecdTquUxxh8

もとの随筆は、茶めしにまつわる思い出を紹介する性格のものなので、調理法は、かなり簡略化して書かれています。

しろまめは、白いんげん豆と思われる方も多いようです。

『大村しげの京のおばんざい』に、「しろまめ」という項目があり、そのなかで「しろまめというのは、大豆のこと」と解説されています。

つるのこ大豆を使います。大村さんの随筆で、「丹波の鶴の子」について何度か書かれているのを見ました。

しろまめは、下準備が必要なのですが、その点は記述にはありません。一般的な方法で下準備をします。

豆は、一晩水に浸けて、使う前に水気を切っておきます。

水に浸けたしろまめ。浮いているものは取り除きます。

 

また、『美味しいもんばなし』には、「わたしはしろまめを、ほうらくでほろほろ、ほろほろといる」の一文もあります。ほうらくとは、フライパンのように使う焼き物です。今回は普通のフライパンを使用しました。

調理後、動画制作に協力してもらっているスタッフのかたから、「番茶は濃い方がいいと思う」との意見がありました。実は私も2度作って、それを実感しました。

洗米でお米に水分が含まれるため、少々濃いめのほうが、しっかり番茶の風味が楽しめます。

調理される際は、ぜひ、その点も意識してみてください。

ついでといってはなんですが、白いんげん豆でも茶めしを炊いてみました。こちらもおいしくてオススメです。ご興味あれば、ぜひ。

白いんげん豆の茶めし。
白いんげん豆も作り方は同様です。ただし下準備は、豆を一晩水に浸けた後、茹でる工程があります。