骨正月の動画を公開しました

YouTubeにて、新しい動画を公開しました。

今回は、一月二十日の骨正月について。

動画のリンクはこちら https://youtu.be/Q4h884yo70U

本来、京都の松の内は一月十五日で終わり、十六日から、暮らしが平常に戻ります。が、大村しげさんは、この骨正月を「おまけのお正月である」(『しまつとぜいたくの間』佼成出版社より)と書いています。

骨正月の食材。大根と魚のアラです。

骨正月とは、買い出しのできないお正月に備え、年末に新巻鮭や塩ぶりを保存食として買い込み、正月が終わって、残った骨を一月二十日に大根とたいて、片付ける風習です。

『ほっこり京ぐらし』(大村しげ著/淡交社)には「裏口を出たところなどに、物干竿を下げ、頭に荒縄をかけたさけが何本も竿にぶら下げてあった」と、年末に備える家々の様子が説明されています。

 

この記事では、いつものごとく、動画で説明しきれなかった調理の補足をいたします。

【大根について】

まず、大根は日本橋高島屋で聖護院大根を購入。価格は税込み580円でした。半分にカットしたものもありますので、一人暮らしまたは、ご家族が少ない方はハーフサイズで十分です。また、長大根でも構いません。

前回、聖護院大根を調理した際、輪切りの状態で六等分にしていました。それを見た母親から大きく使わないと値打ちがないとの指摘がありました。

私自身は食べやすいようにと考えたのですが、大きく使ってこその聖護院大根です。なるほど。『大村しげの京のおばんざい』(中央公論社)の「おだいとお揚げ」の写真を見ると四等分にカットされています。これを参照して、今回は四等分にしました。

また、聖護院大根は皮が厚いので、ケチらずに、厚く皮をむいてください。薄くむくと、硬い繊維が残っておいしくありません。

【味付けについて】

つぎに淡口しょう油です。大村さんはほんの少し入れるように書いていました。アラとはいえ、本来は塩漬けの魚を使うので、元から塩が効いています。熱湯をかける際に、塩気も少し抜けますが、それでもまだまだ塩味は活きています。そのため、しょう油は少しづつ、味を見ながら調節してください。

大根に菜箸が通るくらいに柔らかくなったら、しょう油を入れてください。

【魚について】

大村さん自身は、生のさわらのアラを使って、骨正月の代わりにしていました。これは、とてもあっさりしていておいしいです。今年は、都合よくさわらのアラがなかったので、かんぱちとタラのアラで代用しました。ともに塩漬けではないので、少し、多めに淡口しょう油を入れています。

おそらく、先に大根を入れたほうがうまくいくはずです。

動画中に書いているとおり、たくときは先に大根を入れた上に、魚を乗せたほうがうまくいくと思います。私は先に魚を入れてしまったので、魚をとりだすときに、崩れてしまいました。もともと、アラは煮込むだけで崩れやすくなってしまうので、ご注意ください。

「大きいおなべにいっぱいたいて、温めてはいただく。そのうちおだいはべっこう色になってきて、味もようしゅんで(※)くる。わたしはこのおだいをたくとき、自分勝手に骨正月と思うている」

『京 暮らしの彩り』(大村しげ著/佼成出版社)より

※味が浸み込むこと